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『PAPER BIKINI YA - YA/BRIDGE』 [渋谷系]

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押忍。
昨日の関西も暑かったですね。
昼間は神戸へ行って元映で『愛のコリーダ』観てきました。
愛のむきだしって感じで藤 竜也、凄かったです。
それから大阪へ戻って夜は谷町9丁目でサンドウィッチマンのライヴを。
サタデーナイトライブって感じで大爆笑でした。
大好きです。

さてさて一方、
関東地方は何だか雨が多くて夏っぽくないようですね。
思い出すのは1993年。
大学一年の頃です。
川崎の高津区に住んでいたあの年の夏も涼しかったです。
冷夏で米不足にまで発展しました。

丁度その頃によく聴いていたのが今回ご紹介します、Bridgeのマキシシングル。
今年再結成ライブをしましたね。
ああぁ、行きたかったな。
当時から大好きで、そして今でも。
特にこのマキシシングル、というかミニアルバム?CDEP?
どうでもいいか。4曲入りシングル。
今でも大好きで、もう何度再生しただろう。
個人的に夏の定番。
ずっとずっと紹介しようとしていて、忘れていました。

見て下さい!
このジャケット中央でチェット・ベイカーを気取っているカジくんを!
カジくんのショートパンツ伝説はすでにブリッヂから始まっているのです!!!
それはそれとして、ジャケットから伺える空も何となく曇ってます。
歌詞が掲載されてるブックレットの写真の空は少しどんよりとしていて、あの1993年の気分を思い出させます。ジャケットのデザインはドラムの黒沢さんです。

ジャケットの空は曇りがちですが、
曲の方はバッチリ夏にピッタリな避暑地ポップスです。

まず一曲目の『watermelon bikini』。
カジくんのペンによる曲。
アルマンド・トロバヨーリ的な欧風ラテン風味のポップス。
海岸沿いの避暑地での恋模様。
冒頭での外国人の陽気な掛け声からなんだかリゾート地に思いを馳せます。
池水さんの弾くハモンドの響きもグッド。
このEPでは特に金管、木管、そしてパーカッションが大活躍。
ホーンアレンジは元リアルフィッシュの矢口博康氏、パーカッションには戸田よしえさんが参加。
吉田 仁さんのプロデュースも滞りなく。
アコースティック系の楽器による風通しの良いサウンドと大友真美さんのキュートなヴォーカル。
カジくんの胸のすくような甘いメロディ。
掴みはオッケー。
この曲ではスイカですが、数年後にはカジくんはマスカットを歌いますね。



二曲目は大橋さんによる『chime』。
叶わない恋への想いを込めた、ちょっとせつない感じの曲です。
シャッフルビートにも胸が高鳴ります。

三曲目は『heavy yawn』。
こちらは作曲は同じく大橋さんですが、作詞は大友さん。
四曲中これのみ英語詞です。
タイトルを訳すと《おおあくび》ですね。
心身ともにフレッシュに活動したい思いを抱きながらも、
眠りすぎたり、ぼんやりとのんびりと怠惰に過ごしてしまう。
休暇をついつい無駄に消費してしまうことってよくあるコト。
気怠るくも心地よい感じの甘いボサノヴァ。

締め括りの四曲目は『SPLASH』。
“Shimmy”こと、またの名を“日本のニックヘイワード”、清水さんの曲です。
ラストはソウル風な甘くほろ苦いバラード調。
ちょっとこんなテイストはこれまでのこのバンドには無かったです。
そして大友さんと清水さんがデュエットをしているというのも珍しい。
これがまた胸を切なく締め付つける様なやるせないメロディで素晴らしい。
清水さんの声は低目で大人なムードが出ています。大友さんも少しクールに歌っていてバランスが絶妙です。
少し悲しいムードでEPは終わります。
素晴らしい、改めて名盤。
昨今のアナログ盤の隆盛に乗じて『PAPER BIKINI YA - YA』をコンパクト盤の7インチで発売してくれないかしらん。出来ればレコードストア・デイの企画ではなく。

話が逸れました。
1993年の春に小山田圭吾さんの主催する“トラットリア”から同じく彼によるプロデュースでメジャーでのファーストアルバム『Spring hill fair』がリリースされました。
インディーズ時代の魅力たっぷりにネオアコースティックな魅力を湛えていました。
全編英語詞で。

そして夏、この四曲入りでは少し趣を変えてネオアコなサウンドに留まらず、サントラ風、ラテン風、
ソウル風とバラエティに富んだ音作りが特徴です。
バラエティに富まそうとすると逆にバンドの軸がぶれてしまう事がありますが、
この作品集ではバンドの魅力がファーストアルバム以上に多彩に良い形で出ていると思います。
Bridgeはソングライターが大友さん、カジくん、大橋さん、そして清水さんと四人いますがどの方もセンスが良くて、四曲ともそれぞれの良さが十二分に出ているのです。
そして一曲を除いて日本語詞での作詞にシフトしています。
その後結果的にラストアルバムとなってしまうセカンドアルバム『Preppy kicks』は『PAPER BIKINI YA - YA』での路線をさらに進化させて傑作に仕上げています。
是非まだ聴いたことのない方は探して聴いてほしいです。
それにしても素敵なバンドですよね。
イイ曲たちを唄う大友真美さんのチャーミングな歌声も永遠です。
ホント、大好きな歌手です。

どちらのアルバムも僕の夏の定番です。
僕にとっての“夏の日の1993”なり。

四月に開催された彼らの久しぶりのリユニオンではこのEPからの曲も披露されたそうで、生で聴けた方が羨ましいですね。
そのときのライヴを記念してメンバーらによって作られた限定のZINEですが、我が妹氏の多大なる協力により入手出来ました。多謝。


バンドの皆さんいつまでもお元気で!
またいつかライブをやって欲しいと切に願う限りです。

このブログを通じて、ブリッヂのバンドとしての再評価が高まることを願って止みません。

『watermelon bikini』《PSCR-5027(trattoria menu 18)》〈作詞・作曲:加地秀基/編曲:Bridge〉(03'17'')【1993】


Paper Bikini, Ya Ya

Paper Bikini, Ya Ya

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ポリスター
  • 発売日: 1993/07/25
  • メディア: CD



Preppy Kicks

Preppy Kicks

  • アーティスト: 大橋伸行,加地秀基,清水弘貴,ブリッジ
  • 出版社/メーカー: ポリスター
  • 発売日: 1994/07/01
  • メディア: CD



SPRING HILL FAIR

SPRING HILL FAIR

  • アーティスト: BRIDGE
  • 出版社/メーカー: ポリスター
  • 発売日: 1993/04/15
  • メディア: CD



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『夏の幻影/Minuano』 [邦楽ロック10年代]

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こんばんは。
会社の行き帰り、アスファルトの道端に蝉の亡骸をよく見かけます。
命の限りに鳴き尽くして夏の盛りに息絶える。
潔い生き方ですね。
蝉が鳴く音はなんだか不快ではありません。
うるさく感じません。
蝉しぐれ、大好きです。

夏ももう終わりに近づいているのですね。

という訳で今宵も夏の軽音楽を。
今回は珍しく配信の曲です。

前回の記事で、Overdose of Joyというイベントのコトを書きました。
そのときにLampのライヴを観た話もしました。
メンバーの3人とサポートのパーカッション奏者、尾方伯郎さんの計4人で演奏されました。
主にグループのオリジナルソングを新旧混ぜて聴くことが出来たのですが、一曲だけ尾方さんによる楽曲が演奏されました。
その尾方さんが主体となって活動している音楽ユニットが今回のMinuanoです。
尾方さんは主に楽曲制作と演奏・プロデュースを担当しており、歌唱はLampの紅一点、榊原香保里さんです。ライブでもそうでした。
Minuanoはこれまでに二枚のオリジナルアルバムを発表しています。
今回ご紹介するのは5年前に配信で発売されたEPです。
タイトルは『夏の幻影』。
3曲入り。
Lampのライヴで尾方さんの曲が歌われるように、
MinuanoとLampの音楽性は非常に近いです。
MPB、AOR、ソフトロック、SSW系からの影響が強い音楽。
何と言ってもどちらも歌っているのが榊原さんなのが大きいでしょう。

僕は榊原香保里さんの歌唱が大好きです。
魅惑の歌声。
サザンの原 由子さんに昔から声が似ているなぁ、と思っていて。
原坊も声が素敵で。
せつない響きを湛えている声質ですね。
お二方とも素晴らしいヴォーカリスト。

という訳で、『夏の幻影』。
夏の夜に恋人と線香花火に興じているひとときを曲でスケッチ。
花火大会を二人で見ているのではなく、線香花火をしている、というのがイイですね。
賑わいを逃れた、静寂の中で。
恋人との限られた時間を名残惜しむような、儚い火遊び。
闇の中、線香花火のともしびだけが二人の面影を浮かび上がらせる。
叙情的で文学的な歌詞の硬質さが、日本の夏を醸し出します。
憂いとせつなさを帯びた香保里さんの唄声が歌詞に相応しい。
彼女の歌声に寄り添うウーリツアーの翳りのある音色。
間奏で吹かれる香保里さんのフルートの繊細な響き。
線香花火に火がついて、火花が瞬いて、散っていくまでの様がミディアム調の旋律で展開していきます。花火を見つめる二人の緊張感も伴っているようにゆったりと幻想的に。
そして終盤、一瞬の間を置いて、これまでのメロディの展開と異なる曲調が展開します。
アップテンポで華々しいストリングスでメロディが咲き乱れます。
火花が散ってしまったあとの一瞬の静けさのあと、二人の気持ちがざわざわと波立っているような。

劇的な4分弱の恋模様。
緊張の夏、日本の夏、名曲。



打ち上げ花火もイイですけど、線香花火もイイですね。
そういえば、一昨日の夜、シネ・ヌーヴォで蔵原惟繕監督の60年代の映画を観に行く途中、
九条の裏通りで花火をしている家族をお見かけました。久しぶりに見る光景。
手持ち花火がいくつか咲いていました。
夜の暗闇にだんらんの灯が明るかったのです。


二曲目は『蜃気楼
ボサノヴァのリズムに乗って物憂げで浮遊感のあるメロディが流れていきます。
淡々と囁くような香保里さんの唄声がクールでノクロームなムードを醸し出します。

三曲目は『ある春の恋人』。
セカンドアルバム『ある春の恋人』の表題曲。
こちらもゆったりとしたボッサ。
春の穏やかで淋しげで微睡むような雰囲気がなんとも心地よい一曲。

今回の楽曲はi tunesで手に入ります。
榊原香保里さんの甘く気怠いウィスパーヴォイスを堪能できる三曲。
楽曲のクレジットですが、3曲目以外は作詞担当がハッキリしないのですが(香保里さんか尾方さんと思われるが)、作曲編曲は尾方さんでしょう。
素晴らしい。
彼女は日本一ワンピースのお洋服が似合うしっとりとした黒髪の魅惑な女性。
加古川アラベスクホールでのライヴが思い出されます。
ライヴのあと、物販会場でLampの『ランプ幻想』のアナログ盤を買ったときに少し御三方とお話が出来たのですが、ライヴで披露された尾方さんによる楽曲は新曲なのですが、まだMinuanoとして発表するか未定だそうです。染谷さんの希望でライヴで歌うコトになったとか。
是非、染谷さんのレーベルからMinuanoの新作を出して欲しいと切に願います。
そのときにアナログ盤にも三人のサインも貰いました。
ちなみに我が家には『ランプ幻想』のアナログが計3枚あります。

ガッハッハッハ。

『夏の幻影』《品番不明》(04’15’’)【2012】



ある春の恋人

ある春の恋人

  • アーティスト: 尾方伯郎,榊原香保里
  • 出版社/メーカー: ポリスター
  • 発売日: 2010/04/21
  • メディア: CD



Love Logic

Love Logic

  • アーティスト: 尾方伯郎,榊原香保里
  • 出版社/メーカー: Import music service(IND/VC)(M)
  • 発売日: 2009/03/04
  • メディア: CD



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『SUMMER TRAGEDY/FOUR PENS』 [アジア]

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こんばんは、夜遅くお盆休みで の実家から戻って来ました。
毎度毎度実家での野暮用を粛々と済ませるだけの数日間。
ただそれだけのこと。
家族はまぁ元気でした。

さぁさぁ、
今夜もサマーなポップソングを。

音楽が好きですがこの季節に開催されるフェスには基本的に無縁です。
暑いし、人がゴチャゴチャいるし、行列が多いし。
そこまでして遠方まで出かける気はありません。
まぁ、予定が合わないという事もあるのですが。
だったら空いている映画館で涼しく上映を愉しんだ方が精神的に良いです。

とはいえ、今年はひとつだけ音楽フェスに出かけました。
7月8日(土)に兵庫県の加古川市のウェルネスパーク内のアラベスクホールにて、
Overdose of Joy』という名前のイベントです。
これはFastcut recordsという音楽レーベル兼輸入レコード屋さんが開催したもので。
元々は加古川に店舗がありましたが、最近大阪の南堀江に移転しました。
その移転とレーベルの発足10周年を記念して上記のイベントが開催されました。
このタイトルはユージン・レコードの楽曲から由来してるのでしょうか。

さて、
移転前に僕も何度かお店の商品を通販で買ったことがありましたが、
実際に加古川へ行ったのは今回が初めてでした。
加古川って兵庫だし近いんだろうなぁと気軽に考えてチケットを予約しました。
調べたら僕の住む街から結構遠くて。
ちゃんとした加古川の場所も初めて知ったくらいで。
お恥ずかしい。
JRと阪神電車を利用して加古川へ行きました。2、3時間かかりました。
ちょっとした小旅行気分で楽しかったです。
途中、須磨の海が見えたり。
夏を感じました。

加古川ウェルネパークは加古川駅からバスで30分ほどの距離があり、山の中にある複合施設で、
緑に囲まれたのどかな場所にありました。
土曜日に沢山の家族連れで賑わっていました。
アラベスクホールはアコースティックの演奏会向けに建てられた中規模のホールでした。

そのイベントには計5組のミュージシャンが参加しました。
・sheerprint
・pictured resort
・four pens (四枝筆樂團 )
・lamp
・曽我部恵一

特にlampと曽我部さんを同時に観られるというのが魅力で参加しました。
lampは従来のバンド編成と違って、4人編成でしたが良かったです。
新曲も多めで早くアルバムとして聴きたいです。
曽我部さんはlampの次に出てきて、イベントのトリを務めました。
ソロでアコギの弾き語りでしたが、ホールの響きを効果的に利用してその豊かな歌唱力とギターの響きを存分に楽しみました。激情の演奏と優しいアットホームな演奏の両方が味わえました。
見事としか言いようのないパフォーマンスでした。
それ以外の3組はほぼ初めて見るミュージシャンでした。
オープニングで登場したSheerprintはアコースティックとエレクトロニカとプログレをミックスしたような幻想的な歌と演奏でした。珍しいブルーナイルのカバーも印象的でした。
二番目に出てきたPictured Resortは往年のネオアコサウンドを髣髴させるような爽やかさと新鮮さと一抹の翳りを体現したバンド演奏でした。
曽我部さんも絶賛。

そして、三番目に登場したのが今回のブログの主役でありますFour Pens(四枝筆樂團 )
台湾からの出演です。
女性2人、男性1人の3人組(サポートに男性1人が加わってました)。
国立台湾芸術大学で結成されたバンドでメンバーは楽曲を作るギターのBibo、鍵盤担当のSunny(咨咨)、そしてヴォーカルのCandace(小四)。
来日ツアーの中でのイベント参加だそう。
初めて彼らのライヴを観まして、アコースティックなサウンドを基調としたポップでハートウォーミングなメロディに惹かれました。
Sunnyさんがカタコトの日本語を喋り、バンドのメンバーのお話を通訳してくれるのですが、ところどころ不明な所がありまして、そこは笑顔で誤魔化すところが良かったです。一生懸命伝えようとされるのが伝わって来ます。そういうトコロも魅力でした。
ヴォーカルのCandace(小四)さんは黒く長い髪と白を基調とした風通しの良いドレスが素敵でした。
黒めの大きな眼、白い肌。お人形さんみたいでした。
マイクのところにキラキラと点滅する飾り付けがされててそれもキレイで。
彼女の歌声も澄んでいて、ホールの中に瑞々しく響き渡りました。
ギターのBiboさんも含め、素朴で素直で親しみ深い人柄が歌とМCから十分伝わって来ました。
何となく台湾と言う国から感じられるイメージそのものというか。優しい隣人というか。
日本語で唄う曲もあったり、フレンドリーな歌と演奏でした。

そんな彼らの楽曲の中で特に良かった曲が今回ご紹介するシングルです。
彼らが一年ほど前にfastcut recordからリリースした7インチ。
Summer Tragedy』。
傘を差した少女の横顔のジャケット。
これはヴォーカルのCandace(小四)さんではなく、PIPIさんというモデルさんの写真。
女性が傘を差したジャケットが好きな僕としてはストライク土間の中です。
勿論このシングル自体は昨年買っていました。

これはFOUR PENSのオリジナルソング。
夏の恋の、せつなさ、儚さ、もどかしさ、美しさが一曲の結晶と化しました。
アコギのリズミカルで清かなアルペジオ。
水彩画のようなキーボードの音色。
囁くようなCandace(小四)さんの歌声。
胸を締め付けるハートフルな旋律。
まっすぐな曇りのない歌。



なんという名曲。
ライブで聴くことが出来て良かったです。
この曲を聴くと昨年観た『ひと夏のファンタジア』という映画をなんとなく思い出します。
これは日本と韓国で合作された映画で物語は奈良です。
夏の淡い恋愛ドラマでした。

B面は同曲のリミックス。
担当しているのはharuka nakamura。
楽曲を解体し、抽象的にロマンティックで耽美なムードで再構築。

イベント『Overdose of Joy』の終演後、ロビーで物販会があり、FOUR PENSの3人の元で彼らのCDを買いました。とてもフレンドリーに応対して下さり商品にサインも貰いました。
これまでも何度か日本でツアーをされていて、また次来日した際にはライヴ観たいなぁと思いました。

今回観たフェスは涼しいし、人もゴミゴミしてないし、勿論行列なんぞもありませんでした。
程よい按配で理想的にフェスが進行しました。
アラベスクホールも素晴らしいホールで。
Fastcut recordさんにも感謝。
加古川の街では名物の《かつめし》も食べました。
なかなかでした。

2017年夏の良い思い出となりました。
このシングルを聴くと素敵なイベントのコトをこれからも思い出すコトでしょう。

まぁ、そんな感じです。

『SUMMER TRAGEDY』《FCEP-023》〈Witten by Bibo Kang〉(05’07’’)【2016】




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『思い出のビーチクラブ/稲垣潤一』 [邦楽ロック/80年代]

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こんばんは。
今宵も夏の曲を。

稲垣潤一さんの1987年のシングル『思い出のビーチクラブ』です。
以前に『一ダースの言い訳』を取り上げてから、J.Iを改めて聴き直そうと、
ベストアルバムを買いました。
そしたら出てくる出てくる珠玉のナンバーの数々。
あれもそうだった、これもそうだったと、心が弾みました。
J-POPというやや軽薄短小な枠組みの中で一本芯の通った世界を作り続けてきたのが稲垣さんだと思いました。
様々な作家チームと組みながら独自のブランドを現在まで30年近くも守り続けて来ているというか。

そんな名曲たちの中で僕がひと際惹かれたのが今回のシングルです。
同年に発表されたアルバム『MINDNOTE』からのシングルカットでそれを機にリミックスされています。

60年代のモータウンのフォートップスの『 It's The Same Old Song 』とかレン・バリーの『1-2-3』とかに通じる躍動感のあるイントロのリズム。
颯爽としたギターの8ビートフレーズ。
瑞々しいサウンドとメロディがソーダファウンテンのように湧き上がります。
作曲はヒットメイカー林 哲司さん。
『一ダース~』もそうですね。
アップテンポのリズム、そして胸高鳴るような素敵なメロディに乗って歌われるの内容は、
明るい内容かと思いきや、実は悲しいのです。
売野雅勇さんの歌詞も素晴らしいです。
泣きそうです。
せつない。
やるせない。
哀しい。


歌に出てくるビーチクラブとは閉鎖されたリゾート施設で、
寂れた建物の描写から歌詞は始まります。
青春時代を過ごした思い出の場所。
過去には活況を呈した場所も今は無残な姿を晒している。
何だか若い頃の過去の自分まで否定されているような。
過去の明るい青春時代を懐かしむ内容なのですが、
学生時代というかモラトリアムな青春時代、若さに任せたあの頃の甘酸っぱい思い出を振り返りながらも後悔の念を滲ませています。
夢のように儚い、うたかたの日々の中で大切なものまで見失って。
その後、社会人としての厳しい現実に直面していると思しき苦さが歌詞の行間から垣間見られます。
あの頃にはもう戻れない。

《STAY GOLD》という言葉がせつなく響きます。

稲垣さんの絶妙な甘さを湛えた歌声が、少年と大人の狭間に揺れる青年の苦しさを見事に代弁しています。

アレンジを担当するのは船山基紀さん。
特に間奏の流麗なストリングスの響きが鮮烈な夏の想い出のように眩しく輝いて耳に感じられます。
爽快感のあるサウンドのブリーズが心の傷口に染み込んでくるような。

30年前の永遠のポップス。
過去の思い出をほろ苦く懐かしむ曲なので、ちょうど今くらいに聴き返すのが相応しいのかもしれません。30年前と言うと、バブルの頃でした。



この映像のJ.Iもイイですよね。
マリンルックが決まってます。
バックの演奏も一丸となったパワーを感じるし。

何度聴いてもイイですね。
1987年の夏のシングルと言うと渡辺満理奈さんの『マリーナの夏』がありますね。
リゾートでの淡い恋を歌ってます。

B面は『TRACES』。
アルバム未収録で、なんとクラッシックスIVのカバー。
オリジナルは1969年の作品。
このグループはバディ・ビューイとジェームズ・コブの共作で数々の名曲を残しています。
もちろん『TRACES』も例外ではなく。
そしてヴォーカルのデニス・ヨーストの南部系の男臭く甘い歌声の魅力。
稲垣さんの唄はそれとは正反対の声質なのですが、また違った魅力を楽曲に導くことに成功しています。
日本語の歌詞で唄われています。
担当したのは重実 博さんと言う方。
成就しなかった過去の恋についての唄。
こちらも振り返る内容ですね。

編曲はTOPICS。
個人なのかグループなのか判断がつきかねます。
もともとの楽曲も良いし、アレンジも稲垣さんのピッタリな繊細なムードに仕上がっていて良いカバーです。

何と言うか、僕にとって完璧なシングルです。
作家陣らによる分業も成功していた80年代の良い時代の充実したポップスでもあります。

真夏の昼の夢のような遠い音楽。


『思い出のビーチクラブ』《07FA-1103》〈作詞:売野雅勇/作曲:林 哲司/編曲:船山基紀〉(04’38’’)

30周年記念ベスト~テーマ・ソングス~

30周年記念ベスト~テーマ・ソングス~

  • アーティスト: 稲垣潤一,さがらよしあき,秋元康,売野雅勇,湯川れい子,安井かずみ,松本隆,山田ひろし,山田奈奈
  • 出版社/メーカー: USMジャパン
  • 発売日: 2011/10/26
  • メディア: CD



Mind Note

Mind Note

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: UNIVERSAL J(P)(M)
  • 発売日: 2008/03/11
  • メディア: CD



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『TOWEL/KOICHI IKURA with FUNKEE STYLE』 [CKB]

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お早うございます、
冷やし湯豆腐の美味しい季節になりました。

今回も夏に相応しいシングルをご紹介しましょう。

イクラちゃんこと、元ムーンドッグスの井倉光一さん率いるFUNKEE STYLEの2015年のシングル。
こちらも前回同様星野みちるさんのシングルをリリースしたVIVIDサウンドから。
同じ年の作品です。

イクラちゃんと交流の深いクレイジーケンバンドの横山 剣さんの楽曲を両面に配した久々の作品です。

A面は『TOWEL』。
これはCKBのカバーです。
2007年のアルバム『SOUL電波』に収録されていまして、ファンにも大変人気の高い夏にピッタリなナンバー。
真夏のプールサイドを舞台に男性の視点から様々な女性に目移りする悩ましい気持ちをスケッチしています。

剣さんの巧みなソングライティングの醍醐味を味わいます。
ミディアムテンポのリラックスしたリズムと心地よいメロディ展開。
楽曲から発せられる優しいムードはまさしく洗い立てで乾燥も十分なタオルの肌ざわり。

そして、メロディやサウンドは言うまでもなく、剣さんの作詞家としての素晴らしさにも唸ります。
男性のフクザツな心理描写やプールサイドの細やかな情景が余す事無く言葉で描かれています。
聴いているだけで、プールでの光景が生々しく鮮烈に頭の中で再生出来るくらい。

イクラちゃんバージョンの『TOWEL』はCKBを下敷きにしたアレンジでオリジナルの良さを活かした演奏です。
イクラちゃんの歌声はダンディでモダンな響きで、ちょっとワイルドな剣さんとはまた違ったムードを醸し出していますね。

う~ん、イイ歌にイイ曲ですねぇ。
超イイネ!!!!

イクラちゃん、剣さんのご両人によるライヴ映像でス。



アルバム『SOUL電波』を聴いていた2007年の夏は、三重県の亀山市の山奥の小さな町に引っ越して間もない頃で、田舎町ののんびりした景色が曲とともに蘇ります。
アパートの近くには山があって大きな川が流れていて、その川の中に入って、澄んだ水が気持ち良くて。その市民プールに泳ぎに行ったりと楽しかったなぁ。
夏が来れば思い出す。
またあの町に行ってみたいなぁ。

B面は『だいじょうぶ!』。
先述の通り、こちらも剣さんによる楽曲。
甘美でロマンティックなメロディとラテンタッチのアレンジが絶妙な、こちらも良い曲です。
2015年当時のイクラちゃんによるコメントによれば、
ムーンドッグス時代にすでに作られていた曲で、グループのラストシングル候補だったのだそう。
しかしある事情でお蔵入りになったそうです。
なるほど、ムーンドッグスっぽいラブソングだなと納得。
そして、
この曲を聴くと別のある曲を思い出しました。
米米クラブの『君がいるだけで』です。
こちらは1992年5月に出たシングルでした。
大ヒットもしました。
先のコメントによると24年前に『だいじょうぶ!』は出来ていたというので1991年には書かれていたと考えられます。
《ある事情》については詳しいことは判りませんが、盗作ではないのですが、曲調が似ていると思われるので《パクリ》とか心ない変な噂になることを不安視して、敢えてお蔵入りにしたのでは、とトーシローの都市色は邪推します。
イクラちゃんはこの曲のリリースを永いこと切望していたそうで、剣さんも今回のリリースには御喜びだったそうです。めでたし。
下衆の勘繰りはこの辺にして2015年の新鮮な耳に素直にポップに響く『だいじょうぶ!』は大丈夫なのでした。

因みにシングルの二曲ともアレンジは幾見雅博氏によるもの。

イクラちゃんはこのシングルを機に音楽活動を再開されまして、
ライブも精力的に行われています。
剣さんともときどきイベントをされていますね。

剣さんと言えば、今年は横山 剣デビュー35周年、クレイジーケンバンド結成20周年!!!
そして2018年クレイジーケンバンドデビュー20周年という事で、バンドの決定的なベスト盤『愛の世界』がリリースされました。
CD三枚組、初回盤には二枚のDVDまで付いて。

夏バテや熱中症予防、滋養強壮にCKBベスト盤『愛の世界』は如何でしょうか。
勿論『TOWEL』も収録されてます。
バスタオル、フェイスタオル、タオルハンカチ、スポーツタオル、等々。
夏に『TOWEL』は欠かせないですぜ。


『TOWEL』《VSEP821》〈作詞作曲:横山 剣〉(04’26’’)





ソルティー・エアー

ソルティー・エアー

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ヴィヴィド・サウンド
  • 発売日: 2016/07/13
  • メディア: CD



【早期購入特典あり】CRAZY KEN BAND ALL TIME BEST ALBUM 愛の世界(初回限定盤)(DVD付)【特典:ポスター】

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Universal Music =music=
  • 発売日: 2017/08/02
  • メディア: CD



【早期購入特典あり】CRAZY KEN BAND ALL TIME BEST ALBUM 愛の世界(通常盤)【特典:ポスター】

【早期購入特典あり】CRAZY KEN BAND ALL TIME BEST ALBUM 愛の世界(通常盤)【特典:ポスター】

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Universal Music =music=
  • 発売日: 2017/08/02
  • メディア: CD



20/20 Video Attack! Live at 神戸 CRAZY KEN BAND TOUR 香港的士 2016 [DVD]

20/20 Video Attack! Live at 神戸 CRAZY KEN BAND TOUR 香港的士 2016 [DVD]

  • 出版社/メーカー: DOUBLE JOY BROTHERS
  • メディア: DVD



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『夏なんだし/星野みちる』 [邦楽女性アイドル10年代]

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オッス、お久しぶりです。
ブログです。
お元気ですか。
暑中お見舞い申し上げます。

三か月もご無沙汰してしまいました。
五月の連休中に、ぎっくり腰をやっちまいまして、寝たきりになりました。
最後にブログを更新していたときも腰の調子は良くありませんでした。
安静にしていてもなかなか治らず、意を決して連休明けに119に一報。
救急車に乗って病院へゴー。
この車に乗ったのは40年近く振りだったような。

医者の診察で椎間板ヘルニアと判明。
症状はやや深刻でした。
まるまる一か月入院することになりました。
生まれて初めての長期入院。
もう大変でした。
不安ばかりで色んな事を考えました。

なんとか手術をせずに六月の上旬に無事退院。
会社にも復帰しました。
退院してなんとか歩けるようになりましたが、しばらくはまだ歩くのが覚束なかったです。
足や腰辺りが痛く、違和感がありました
椎間板の痛みには歩くのが良いらしいと小耳に挟んで、《生理歩行》なるモノを退院した日から始めました。
正しい歩き方で毎日40分以上、街をひたすら歩きました。
始めは苦しかったですが、二三週間続けるうちに痛みがほんの少しづつですが薄れていきました。
それとストレッチ体操、温かいお湯に欠かさずに毎日入りマッサージました。
徐々に徐々に効果が出てきました。
腰の具合が良くなることによって便秘も治りました。

退院してひと月後には何ともなくなりました。
入院中の苦しい、やり場のない痛みも忘れてしまうほどに。
でもあの頃のどん底の心理状態は忘れません。

毎日退屈でした。
そんなときに心を救ってくれたのが音楽でした。
アイフォンに入っている音楽を聴いてました。
そしてラジオ。
そしてアイフォンのアプリで昔の日本文学を読み漁りました。
テレビは『ひよっこ』『徹子の部屋』『やすらぎの郷』を毎日観てました。

入院することになって精神的にも大変でしたが、経済的にも大変でした。
入院費です。傷病手当を申請したり、高額医療制度を適用して、分割してなんとか昨日漸く全額支払いました。勿論保険会社には連絡しています。

これまで病院に入院した経験が無かったので初めての体験ばかりでした。
しないで済むに越したことはありませんが、これもまた人生の修行のひとつだったと思います。

とにかく健康が一番ですね。

入院費を払ってホッとしました。
ブログを書きましょう。

またまた三か月も放置していたら、もう八月です。

「夏なんです。」

という訳で『夏なんだし』。
星野みちるさんの15年のシングルなり。
曲を書いてアレンジをしてるのが小西康陽さん。
近年めっきり楽曲制作が減ってしまった小西さんのひさびさの書き下ろし。
ありがたやありがたや。
小西さんも《はっぴいえんど》チルドレン、なんてったって、1985年の国立競技場でのコンサート《ALL TOGETHER NOW》にて、はっぴいえんどの再結成ライヴでコーラス隊として参加したくらいなもので。
小西さんがメンバーとして参加した前園直樹グループのセカンドアルバム『遠くへ。』(2011)で『夏なんです』をカバーしましたが、そのときのアレンジを引用してのブレイクビーツ歌謡。
青空に高く響き渡るトランペットのフレーズ。
夏にピッタリな陽気でヒップホップなサウンド。
季節に浮かれ気味の開放的な乙女の心情を歌っております。
ユーモアと時事ネタを織り込んだ小西さんの歌詞も素晴らしい。
そしてこの季節の風物詩と言える稲川淳二氏もМCで登場。
どこまでもサーヴィス精神旺盛な小西さんプロデュース作。
そして星野さんの邪気の無い唄声。
野郎どものアゲアゲな掛け声。



夏の定番になりそうな名曲。


B面は、『坂の途中で』。
こちらはなんと高浪慶太郎さんが作曲しています。
このシングルをリリースしているVIVID SOUNDから以前にソロシングルを出したり、高浪さんとも親しいサリー久保田さんのサリーソウルシチューのシングルに曲を提供したり、このレーベルともゆかりの深いお方。
高浪さんのご出身でもある長崎は坂の多い街として有名ですが、この曲を作詞したはせはじむさんも長崎を想定して書いたそうです。
思案橋、眼鏡橋など、名所も歌詞に織り込まれています。
曲調は60年代初頭の欧米のガールポップを意識したような甘美なメロディとサウンドが広がります。
長崎という事で異国情緒も程よくブレンドして。
編曲はマイクロスターの佐藤清喜氏。



もうすぐ8月9日は長崎に原発が投下された日です。
戦争はもとより、戦時下に目配せした憲法への余計な整備には大反対です。


奇しくもシングルの両面に、ピチカートファイヴの元メンバーである小西、高浪両氏による楽曲が配されています。
このふたりによるカップリングは1990年夏のピチカートのシングル『ラバーズロック』以来でした。この曲も夏にピッタリで今でも大好きです。

さてさて、
ブログを休止している間もマイペースでシングル盤を収集していました。
入院していなければ、もっともっとシングルを紹介できたのに。
まあいいや。
まだまだブログは続く予定です。
健康に留意しながら続けます。
夏にお誂え向きなシングル盤を暫くはガンガンご紹介する予定です。
乞うご期待。

それでは皆さんもお体に気を付けて、素敵な日曜日を。
ご安全に。

『夏なんだし』《HCCD09560》〈作詞・作曲・編曲:小西康陽〉(03’46’’)【2015】


夏なんだし(CD+7inch)

夏なんだし(CD+7inch)

  • アーティスト: 小西康陽
  • 出版社/メーカー: VIVID SOUND
  • 発売日: 2015/07/22
  • メディア: CD



YOU LOVE ME

YOU LOVE ME

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: VIVID SOUND
  • 発売日: 2015/09/02
  • メディア: CD



黄道十二宮

黄道十二宮

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ヴィヴィド・サウンド
  • 発売日: 2017/06/21
  • メディア: CD



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『SUBSTITUTE(恋のピンチヒッター) / THE WHO』 [英国ロック/60年代]

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わんばんこ。

ラジオが楽しい今日この頃の都市色です。
ラジコのタイムフリー、エリアフリー機能により、ラジオがますます好きになりました。
聴ける番組が増えてウレシイです。
通勤時間にイロイロと聴けるのがいいですね。
ラジオの恋人、ラジコ。
なんて。

そして昨日、また好きなラジオ番組が始まりまして。
というか、またやって来ました。
春になると、プロ野球シーズンになると、渡り鳥じゃないですが、あの男がマイクに戻って来ます。
還って来た男の名前は安田謙一、またの名を“ロック漫筆家”。

彼のラジオシーズンが今年も無事に開幕しました。
軽妙な音楽とおしゃべりの魅惑のラジオ番組『夜のピンチヒッター』(通称“夜ピン”、not 洋ピン)。
以下はオンエアの冒頭に述べられる口上です。


  ナイター中継が無い金曜の夜。
  ロンリーウィークエンダーの破れたハートをパッと狙い撃つ、ロックンロール無礼講。
  DJがわざと変な曲をかけまくる、怒涛のラジオ番組
  その名も、“夜のピンチヒッター”

生まれも育ちも神戸の安田さんの地元のラジオ局、ラジオ関西にて、
プロ野球シーズンの四月から九月いっぱいまでの約半年、放送局がジャイアンツのナイター中継の為に用意した時間帯にナイターの試合が予定されていない場合にオンエアされるという、ちょっと、変則的な番組。
番組タイトルどおり、まさにジャイアンツナイターの穴埋め、いや、代打の切り札、夜のピンチヒッターな訳です。
放送開始は2011年4月。
放送時間は100分のときもあるし、2時間半のときもあったりと放送日によって異なります。
放送される曜日は決まっていますが、毎週ではなく。
ピンポイントな感じで。
以降、2015年以外は毎年のように定期的かつ不定期なオンエアが繰り広げられています。
2014年までは毎週火曜、2016年と今年は毎週金曜日です。
モチロン、生麦 生声 生放送。
半年の期間内に10回前後の放送回数で、
昨年のシーズンで通算50回を数えました。
毎年、3月頃になると、4月から『夜ピン』が今年も放送されるか否かでそわそわしちゃいます。
まるで受験の合否の結果が気になる学生さんの気分で。
昨年からはさらに放送時間が増えました。

因みに安田さんはタイガースファンです。
草野球チームの監督兼選手でもあります。
《漫筆家》安田さんのお書きになるレヴューやコラムも面白いのですが、
DJとして、おしゃべりもとっても楽しいのです。
そして独特の選曲センスも聴きどころ。
ロックンロールを主体としながら、R&B、歌謡曲、辺境音楽、ラテン、ヒップホップ、テクノ、珍盤奇盤、などなど、古今東西のあらゆる音楽に対してフレキシブルにフラットに対処する安田さん。
長身の右腕からストライクゾーン広めに繰り出される七色の変化球の如き選曲にきりきり舞い!
コーナーを突いた絶妙の配球とコントロール。
あれ、ピンチヒッターでしたね。
どんな球も打ち返します。
この番組はとにかく安田さんのユニークな選曲が楽しめます。
そしてたまーに、僕、都市色がリクエストした曲も聴けます。それは余計か。
これまでさまざまなラジオ番組にリクエストしてきた僕ですが、
リクエストに応えて頂いた確率が高いのがこの番組なのです。
様々なリスナーからのどんなリクエストにも打てば響く安田選手。
もう有難くて、ラジオ関西には足を向けて寝られません。

そして、
この番組から伝わってくる、安田さんの音楽への優しい眼差し、おおらかさを感じずにはいられません。ジャンルを超えて、国境や時代をも超えて、広く寛容に個々の音を楽しんでいる安田さん。
引いては地元愛もひしひしと感じられます。
郷土へのユニークな想いはロングセラーを記録する第三著作集『神戸、書いてどうなるのか』にディープに軽やかに綴られています(それに関する拙ブログの記事はこちら)。


またまた前置きが長くなりました。
そんな“夜のピンチヒッター”のテーマソングがTHE WHOの『SUBSTITUTE』《邦題:恋のピンチヒッター》なのです。
ピンチヒッターとくれば、《恋の~》。
まさにこのラジオ番組の為に用意されたようなポップなロック&ロールのスタンダード。

そして、このラジオ番組のテーマソングとして使用されている『恋のピンチヒッター』がTHE WHOの日本でのデヴュー50周年を記念して、1966年に発売された日本盤シングルが、昨年の夏にユニヴァーサルからCDでリイシューされました。日本でのTHE WHOのデヴューシングルが『恋の~』なのでした。
勿論ジャケットは60年代当時に国内で発売されたシングル盤のデザインで復刻しております(サイズもアナログと同様)ので、
残念ながらこの番組のテーマソング云々についての記載はありません。

アレ?
おいおい、ジャケットの曲名“恋のピンチヒッター”の上に何か小さな文字で何か書かれていないかい?(わざとらしく)

あ、ほんとだ。
ふむふむ。(独り芝居)

ジャケットをご覧ください。
小さくですが、曲の題名の上に小さく表記されているではありませんか。

と、いうか私の手によりイラレを駆って勝手にねつ造しました。
ですので市販の商品には記載されておりません。あしからず。

だからどうした、ですが。
気は心。

曲紹介に戻って、
恋のピンチヒッター。
1966年の3月リリース。
ピート・タウンゼントによるキャッチ―なメロディ。
フレッシュでコンパクトでパンチの効いた演奏。
初めてこの曲を聴いたのは『LIVE AT LEEDS』のバージョンでした。
白熱する四人の演奏に引き込まれました。
そういえば、皇室の佳子さまの留学先がリーズ大学だそうで。
ライヴの開催されたあの大学と同一でしょうか。
判りませんが、
実にリーズナブル(意味不明)。

それはそれとして、

ジャッ ジャッ ジャー ジャッジャッジャッジャーン。

というアコギのカッティングから。
ジョン・エントウィッスルとキース・ムーンの荒々しいビートが響きます。
歌詞もユニークで、
英国人のシニカルでひねりの効いた視点に満ちています。
己を誰かの代用品と、切って捨てるかっこよさ。
悲しい身の上をユーモアで切り抜けるセンス。
最近観た、ケン・ローチ監督の『わたしはダニエル・ブレイク』に通じる反骨精神。
二番の歌詞は思った以上にシリアスですがロジャーの歌とバンドの力強いと相まって悲しみを吹き飛ばす力に漲っています。
これぞロックンロール。



番組ではテーマソングのみならず、曲のイントロがCМ前後に聴こえるジングルとしても使用されています。
《夜ピン》と言えば、《恋ピン》です。

B面は『WALZ FOR A PIG
これはインスト曲なんですが、WHOの演奏ではないのです。
曲もWHOのオリジナルではなくて。
じゃぁ、誰(WHO)なんだ、という訳なんですが、
グレアム・ボンド・オーガニゼーションの演奏だそうで。
これにまつわる詳細は書くと長いので、省きます。
要は悪名高き担当プロデューサーのシェル・タルミ―との契約や移籍問題が原因で、
WHOはレコーディングが出来なくなり、その穴埋めでこのバンドの曲がB面に配されました。
詳しくはCDに付属されている犬伏 功氏による渾身のライナーをご覧ください(当時の解説は朝妻一郎氏によるもの)。
タイトル通りに三拍子のマイナー調の楽曲。
曲はドラマーのジンジャー・ベイカーによるもの。
当時はWHOがてっきり演奏されているものだと思われていて、1968年にリリースされた日本での編集盤『エキサイティング・ザ・フー』には収められていますが、それ以外のディスコグラフィには掲載されてません。
この編集盤は数年前に日本でCD化されて僕も買いました。
そのCDには収録されています。
グレアム・ボンド・オーガニゼーションとはバンド名どおり、キーボード奏者のグレアム・ボンドさんが結成した四人組のモッドなバンドです。
皮肉も『SUBSTITUTE』のB面のsubstitute(代役)を任されてしまったという、数奇なナンバー。

そして今回のCDシングルのリリースの丁度1年前には『SUBSTITUTE』のオリジナル英国盤を含む、リアクション・レーベル時代の5枚のアナログ7インチシングルをまとめたSINGLE BOX、『 The Reaction Singles 1966』が発売されました。これも以前買いました。
このボックスには2種類の『SUBSTITUTE』が入っています。B面が異なります。
先にご紹介した『WALTZ FOR~』がB面の盤と『CIRCLES』がB面の盤の2種類。
リリースされた順番では『CIRCLES』の方が先です。
こっちの曲はタウンゼントのオリジナルで歌も演奏もスピード感があってカッコいいです。
かつては『INSTANT PARTY』と表記されていたのですが、『CIRCLES』の誤りだそうで。
さらにマニアックなことを書くと、この『CIRCLES』がB面の盤にも2種類あって、計3種類あるのです。

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ちょっと何言ってるか分かんない。

ファン以外にはもうどうでもいいはなしですね。
重量盤なので音質もCDよりパワーがあります。
ということで、ジャケットは国内の再発CD、盤は海外からのシングルボックスのアナログを合わせれば、完璧です。

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THE WHOはまだライヴを生で見たことが無いので、
是非、再来日を期待したいです。
ロジャー・ダルトリーは尼崎で観ましたが、良かったよなあ。

まあ、なにはともあれ、昨晩の放送も楽しかったです。
そうそう、
ちょうど、一昨日のレイトで『LA LA LAND』を遅ればせながら観た次第で、
ラジオではそれにまつわる怒涛の選曲が楽しめました。
まだお聴きになってない方、タイムフリー機能でどうぞ。
『LA LA LAND』、敢えて予備知識を排除して観ましたが、もう素晴らしかったです。
これ、ジャック・ドゥミ&ミシェル・ルグランのミュージカルへの愛に溢れていましたよね。
主演の二人も素敵でしたし。
音楽も良かった。
早い話が、

シングル盤(アナログ)を出そう。

以上。

あ、
『夜ピン』、次回は来週の金曜、5月5日の夕方5時55分から。
約3時間半の生放送。
おそらく僕は田舎から聴いてるでしょう。
エリアフリー万歳。

『SUBSTITUTE』《UICY-77827(DP 1494)》〈Written by PETE TOWNSHENT〉(03’47’’)【20016】



The Who Hits 50

The Who Hits 50

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Polyd
  • 発売日: 2014/10/31
  • メディア: CD



Live at Leeds 25th Anniversary Edit

Live at Leeds 25th Anniversary Edit

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Imports
  • 発売日: 2006/12/26
  • メディア: CD



恋のピンチ・ヒッター<日本デビュー50周年記念第2弾>(紙ジャケット仕様)

恋のピンチ・ヒッター<日本デビュー50周年記念第2弾>(紙ジャケット仕様)

  • アーティスト: ジンジャー・ベイカー,グラハム・ボンド・オーガニゼイション
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
  • 発売日: 2016/08/24
  • メディア: CD



The Reaction Singles [7 inch Analog]

The Reaction Singles [7 inch Analog]

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Geffen Records
  • 発売日: 2015/08/14
  • メディア: LP Record



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『ヘヴン/池田 聡』 [ピチカートファイヴ]

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どうもどうも。
「傷付いたのがレコードではなく、まだCDだったから良かった」発言でお騒がせの『03’54’’』です。
云い過ぎました。

気を取り直しまして。
前回に続いて、1992年のシングルをご紹介。
短冊CDなり。

池田 聡さんのシングル『ヘヴン』。
この年の秋に発表されたニューアルバム『至上の愛 -a Love supreme-』は小西康陽さんによるプロデュースでした。
このアルバム全体を覆う雰囲気がなんと、『ベリッシマ!』な世界。
あのアルバムの・ようなムードが蘇ります。
つまり、
二匹目のドジョウならぬ、二体目の仏像なのです。
池田 聡さんという類稀なる歌唱力、クールで熱い歌声にはうってつけな男性的な世界なのです。
そのアルバムのオープニングを飾る曲が、今回ご紹介します『ヘヴン』。

ピチカートのソニー時代について最近記事を書いているので今回のシングルを紹介するなら、
《今でしょ!》(絶賛流行語中!)

作詞が小西さん、そして作曲には田島貴男さんが。
まさに、シン・ベリッシマ!

田島さんはすでにこの時期はオリジナル・ラブでバリバリに活動中。
絶好調な彼ならではのスケールの大きくドラマティックな展開。
負けじと小西さんもケレン味のある言葉とアシッド・ジャズ調のアレンジで応えます。
そして、
名タッグによるカッコいい楽曲を軽やかに歌いこなす池田の聡さん。
男たちのノワールな色香にむせ返ります。
ブルーノート調のアルバムのアートワークにもそれが感じられます。
勿論、コンテムポラリー・プロダクションの仕事。

カップリングは『堕ちる』。
作詞作曲は池田さん、アレンジは小西さん。

♪ 夜はふたりを いつも悲しくする

という歌詞での歌い出しにも『ベリッシマ!』への目配せを感じさせます。
都会の真夜中、恋に溺れた一組の男女を乗せた車が秘密のハイウェイをひた走る。
スリリングなハウスサウンドに痺れます。

今回ご紹介した2曲以外にも、玉置浩二さん、かまやつひろしさんらが作曲に参加しており、充実したレパートリーが並びます。
玉置さんは2曲に作曲しており、『ヘヴン』の前にリリースされたシングル『79』はそのうちのひとつ。こちらも小西さんがアレンジをしていて、清々しいミディアムバラードです。
かまやつさんが作曲して、小西さんが作詞した『11月』という曲は後に、小西さんがプロデュースした夏木マリさんのアルバムでも再度取り上げられました。
フランシス・レイ風な実に哀愁に満ちた名曲中の名曲。
野宮さんがコーラスに参加しています。
そして小西さんが作詞作曲した『Blues』。
この一曲に『ベリッシマ!』なムードが凝縮されているといって過言ではないでしょう。

どの曲にも惚れ惚れとする歌いっぷりで魅せる池田さん。
彼のディスコグラフィの中では異色のアルバムとされますが、
今聴いても十分カッコいいです。
違いの判る男のアルバム。
同時期にはピチカートもアルバム『スウィート・ピチカートファイヴ』をリリースしていて、
サウンドに共通するものがあります。
こちらにも池田さんは一曲コーラスで参加しています。


現在も池田 聡さんはコンスタントに作品を出したり、軽いフットワークでライヴをガンガンに行っています。
昨年で、祝デヴュー30周年。
その豊穣なノドでこれからも魅了し続けて欲しいと思います。


『ヘヴン』《TEDN-224》〈作詞:小西康陽/作曲:田島貴男/編曲:小西康陽〉(05’39’’)【1992】



至上の愛 (a Love Supreme)

至上の愛 (a Love Supreme)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: テイチクエンタテインメント
  • 発売日: 1992/10/21
  • メディア: CD



池田聡 ベスト

池田聡 ベスト

  • アーティスト: 池田聡,松本一起,及川眠子,康珍化,小西康陽,秋元康,湯川れい子,松井五郎,川村真澄,森雪之丞,伊勢正三
  • 出版社/メーカー: テイチクエンタテインメント
  • 発売日: 2005/08/24
  • メディア: CD


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『HAPPY BIRTHDAY ep /渡辺満理奈』 [邦楽女性アイドル/90年代]

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あ、夜分にどうも。
『突撃!隣のシングル盤』のコーナーです(レコードプレーヤーのアームの大きなオブジェを持ちながら)。

今回取り上げるシングルは、
前回、前々回同様、GREAT TRACKSからのリリース、第三弾。

渡辺満理奈さんの15枚目のシングル。
1992年にCD(12センチ)として出たモノが何と25年後にアナログ7吋になっちゃいました。
これは退化なのか進化なのか。
《退化の改新》とお茶を濁しておきましょう。
たしか当時アナログの12インチでは出ていたような。

今回のリリースもDJ小西康陽さんの肝入りでしょう。


先日ニューシングルを久しぶりに発表した小沢健二さんの過去のアイドル仕事。
フリッパーズギターを解散して間もない頃の空白を彩るプロデュースワーク。
90年代中期以降の狂騒を振り返ると、ソロデヴュー前の無風状態の頃にこうした作品が残されたのは有意義だったと思います。

A面は『バースデイ・ボーイ』。
当時としては珍しいブレイクビーツ・ポップ。
最高です。

オザケンのセンスの非凡さに降参。
海外の青春小説を翻訳したような軽いタッチの瑞々しくポップな筆致の歌詞。
フリッパーズ以降、彼のところには作詞の依頼が沢山舞い込んだようです。

この時代のアイドルソングは従来のノスタルジックな清純さ喚起させるさせるザ・アイドル歌謡な楽曲、またはユーロビートの効いたダンス系のモノが殆どで、このシングルの様なヒップホップ系な海外の音楽のトレンドを取り入れたモノは珍しかったと思います。
エピック時代のこれまでのラグジュアリーな作風とも一線を画したセンス。
なのでとても新鮮に聞こえました。
ヒップホップと言ってもラップしている訳ではなく、リズムが強調された、ループを多用したサウンド。

レコーディングにはオザケンを始め、ソウルセットの川辺ヒロシさんやオリジナル・ラブの木原龍太郎さんらが参加しています。
これまでは満理奈さんより上の世代のスタッフや作家陣(80年代のエピックソニー系、シティポップス系)が主体となって楽曲制作をしていましたが、上記の三人は彼女と同世代であり、奇しくも90年代の渋谷系を担っていく連中でありました。
ここでも彼女の目利きが効いていると云わざるを得ません。
その後に、はっぴいえんどのカバーを経て、先祖返りともいえる福生のご隠居さまのご加護を得るのは、ソロデヴュー以来常に洗練された、育ちの良い、洋楽的で都会なポップスを歌ってきた彼女にはあまりに当然と云えるし、出来過ぎとも云える結末ですね。


出来れば、クチロロの三浦康嗣さんによるリミックスバージョンがあったら聴いてみたかったです。

B面は『夜と日時計』。
これも小沢健二さんのオリジナルソング、アコースティック・ギターの弾き語りをバックに唄われるバラード。
ネオアコのフィルターを通過しての清涼感のある歌詞とメロディ。
寝静まった真夜中、草原の澄んだ空気を感じずにはいられません。

後に、オザケンもシングル『暗闇から手を伸ばせ』のカップリングでセルフカバーします。

『ヘッド博士』と『犬は吠えるがキャラバンは進む』のミッシングリンク。


オリジナルのCDにはカラオケやブレイクビーツ集も収録されていましたが、今回のシングルではカットされています。


因みに、
24日の今日はオリジナル・ラブの田島貴男氏の誕生日。
バースデイ・ボーイさん、おめでとうございます。


蛇足ですが、その前日はこのブロ・・・。
まぁ、
やめておきましょう。
レコード針に付着した埃くらいに些末なこと。
埃なんて一息で吹き飛ばしちゃいましょう。

ふーっ

今回の様な、アナログレコードが生産中止になった時代に生まれたシングルへ再び脚光を当てる企画、MEG-CDよりは気が利いているので今後も続けて欲しいですね。
小西さんが最近編んだコンピレーション『A』に即したリリースのようですが。
この選曲は一見するとレコード会社がお手軽に作ったコンピレーションCDと変わらないような、ベタな曲目であまり食指は動きません。
個人的には井上睦都実さんなら『ボーイフレンド』もいいけど、小西さんご自身が作った『抱きしめたい』のアルバムバージョンを7吋で欲しいです、是非。


『BIRTHDAY BOY』《MHKL 3》〈作詞・作曲・編曲:小沢健二〉(05’01’’)【2017】



GOLDEN☆BEST 渡辺満里奈

GOLDEN☆BEST 渡辺満里奈

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックダイレクト
  • 発売日: 2010/04/28
  • メディア: CD



バースデイ・ボーイ(7 inch Analog)(完全生産限定盤) [Analog]

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックダイレクト
  • 発売日: 2017/03/22
  • メディア: LP Record



エース

エース

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックダイレクト
  • 発売日: 2017/02/22
  • メディア: CD



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『これは恋ではない/ピチカート V』 [ピチカートファイヴ]

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おっと、ピチカートマニアの皆さん、
オハヨウゴザイマス コンニチハ。

今夜もピチカート V(敢えてこの表記で)。
前回ご紹介した『七時のニュース/皆笑った』と同時発売の7吋でありますところの、
2ndアルバム『ベリッシマ!』からのシングルカットの『惑星/これは恋ではない』。

1stアルバム『カップルズ』がソフトロック~ウェストコーストジャズ~イージーリスニングな白人的の陽性な響きなら、2nd『ベリッシマ!』は一転して、リズム&ブルース~ニューソウル~フィラデルフィア・ソウル~シカゴ・ソウルという、黒人的な陰りと憂いのある響きを湛えています。
これは偏にヴォーカリストの交代が大きいのです。
ウィスパーヴォイスの佐々木麻美子さんから、当時売出し中のバンドでパンクでサイケでニューウェイヴ系なバンドレッドカーテンの中心人物である気鋭、田島貴男さんへ。
1988年、一般的にまだ知名度が高いとは言えなかった当時22歳の田島さんに目を付けた小西さんの慧眼。
彼の若き天才ぶりが最初にメジャーフィールドで遺憾なく発揮されたのが『ベリッシマ!』でした。
例えるなら同年の6月、クロマティ選手の負傷により、急遽一軍に昇格しての対ヤクルト戦の第一打席でホームランを放った台湾の呂 明賜選手の如き活躍。
わっかるかなぁ、わっかんないだろうなぁ。

ヴォーカリストの交代だけでここまでサウンドが変わってしまうのは、ピチカートが元々はアマチュア時代に小西さんと高浪さんらが集まって活動していた作曲同好会が前身であったからで。
極めて裏方の、作家主義的なミュージシャンであり、筒美京平、宮川 泰、村井邦彦諸氏の系譜に当たる人たちなのでした。プロデューサー的資質の座付き作家の佇まい。
テクノポップ、ソフトロック、そして、
非常にエモーショナルな音楽である黒人音楽を次なる題材に選んだばかりにデヴュー間もないピチカートの変節漢ぶりを当時のミュージックマガジンで《仏作って魂入れず》とこき下ろされたのは災難でした。後の90年代以降に発揮されるピチカートのヴァ―サタイルで、ヒップホップのミュージシャンのような編集センスはまだこの時代は軽視されていたのでしょう。
少し時代が早すぎたのかも。
僕はこのアルバムを聴いてから、黒人音楽にのめり込みました。
こういう音楽ファンもいるのです。
小西さんがこの頃に音楽雑誌へ寄稿したコラムやレヴューやお勧めした数多くのアルバムやレコードにどれだけ影響を受けたことか。
90年代のフリーソウルやサバービアは言ってみれば小西さんの受け売りだった訳で。
小西さんの音楽への底知れぬ情熱、報われぬ怨念がピチカートファイヴなのだと思います。
外見(アートワーク)は非情にスマートでファッショナブルなピチカートだからこそ、その恨みは見えにくいですが、その偏愛に満ちた歪な問題作こそが『ベリッシマ!』なのだす。
だからこそ余計にこのアルバムが愛おしいのだす。

70年代終わり頃に大滝さんや達郎さんが雑誌やラジオで盛んに行われてた音楽の啓蒙活動を90年代に小西さんが引き継いでいたのですね。

と、前書きが長くなっちまいました。

まず取り上げたいのはB面の『これは恋ではない』、彼らのすべての楽曲で恐らく一番好きな楽曲。
別格の一曲。
アルバムではB面の4曲目。
哀しいハイライト。

作詞作曲は小西さん。
ピチカートファイブの音楽、というか小西さんの音楽の根源的なものがこの曲にあるように思えます。
この曲を聴くと落ち着きます。
と、同時に胸騒ぎがします。
初めて聴いたときもきっとそんな感じだったと思います。

日常生活に潜む諦観、厭世観、虚無感、絶望感がシリアスなR&Bサウンドに静かに沁みこんでいきます。
この曲から沸き立つ《もの悲しい》という感情。
《悲しい》のではなく、《もの悲しい》のです。
何となく悲しい、哀しいのです。
この曲の歌詞も、恋人との別れが綴られていますが、
その理由には触れられていません。
ひたすら悲しいです。

小西さんの非凡なソングライティングにドキドキします。
歌詞が素晴らしい。
僕が『ベリッシマ!』を知るきっかけになったのは確かワッツインというソニーから出ていた音楽雑誌で1989年か90年頃だったと思います。
邦楽の名盤みたいな紹介で音楽評論家の平山雄一氏がこのアルバムを取り上げられてました。特に歌詞に注目されてました。そのページに掲載されていたこのジャケットにも惹かれました。
批判的なスタンスを取る人もいれば、平山氏のように評価をする方もいる、賛否両論だったそうですね。
話が逸れました。


これは恋ではなくて ただの痛み、という歌いだしから素晴らしい。
都会の夜の喧騒へ静かに広がっていく、乾いたペシミズム。

歌詞に出てくる『いとしのエリー』はご存じサザンオールスターズのヒット曲。
女性コーラスが、同曲のワンフレーズをさりげなく引用して歌うところもイイ。
因みに、この曲を書いた桑田さんの出身は青山学院大学、そして活動していた軽音サークルの『ベターデイズ』には小西さんも在籍していました(時期は少し異なりますが)。高浪さんは小西さんの一年後輩。同じくベターデイズに当時在籍していた故・宮田繁男さんと斉藤 誠さんはこの時期(ソニー時代)のピチカートのレコーディングの殆どに参加しています。そしてそして桑田さんが嘉門雄三名義で出したライブアルバムでもこの2人はバックで演奏しています。斉藤さんは今でもサザンのライブでギターを弾いています。
余談でした。

話が逸れました。
なんだかんだと長い時間連れ添ってきた女性への改めての愛の告白の歌である『いとしのエリー』が破綻を来している恋人同士の間を流れていく悲しみ。

そして、
シリアスな恋の世界を歌うヴォーカリスト、
田島さんによる、情感を抑える、という表現での熱唱。

アレンジも素晴らしい。
シンセベースの重苦しくもクールなグルーヴ。
中山 努氏によるハモンドオルガンのうねりとリズム。
タイトでシリアスで秩序のあるアンサンブル。
終盤へ向けて、転調が繰り返され、徐々に熱を帯びていくサウンド。
それまで淡々と唄われていた田島さんの Woo Baby Baby ~ のフレーズが、遂にスモーキー・ロビンソンの如へと憑依していく寸前に楽曲はさりげなくフェイドアウト。

そして8年前、
ライムスターの宇多丸さんのプロデュースによる、 Full Of HarmonyのMIHIROさんの歌唱での『これは恋ではない』のカバーはそれはそれは“”良いモノでした。



これぞ世代を超えたRESPECT。

続いてA面は『惑星』。
小西さんの作詞、田島貴男さんの作曲で、名作アルバムの冒頭を飾る一曲。
マーヴィン・ゲイの『What's happening brother』を髣髴とさせる神々しきサウンド&オーケストレーションから引き込まれます。
まさに宇宙のファンタジー。
この曲も切なく、儚く、もの悲しい、うら悲しい。
とにかく田島さんのメロディ、歌唱の非凡さに舌を巻きます。
いやはや。
スケールの大きなサムシングを感じさせます。
女性コーラスの伊集加代子さんのお馴染みの美声、もどこまでも高く広がります。
『月面軟着陸』での弦楽四重奏によるバージョンも素晴らしいですよね。

この時代のスタジオレコーディングの音響の豊かさも感じます。

『これは恋ではない』は『月面~』ではヒップホップ調にリアレンジされて、当時ユニコーンの『服部』で世間を賑わせていた奥田民生さんが客演をしてラップを披露していました。
この縁で『PTA~光のネットワーク』のアレンジを後に小西さんが手掛けることになります。

この時代の音楽がやっぱり楽しかったなぁ。
ユニコーンもピチカートもフリッパーズも、元春も達郎さんもサザンも、アレコレ連鎖的に思い出しちゃいます。
多感な頃に出会った作品は一生モノです。

改めまして、『ベリッシマ!』。
昨年、新装リイシューされたCDにはノーナ・リーブスの西寺郷太さんがライナーノーツを手掛けられていました(『カップルズ』ではカジヒデキさんが)。西寺さんと同い年にあたります。だから90年代、ともに大学時代にこのアルバムを愛聴してらしたんだなぁと共感しました。
でもこのアルバムを聴き返した数だけは西寺さんに負けていないと思います。

さて、
『カップルズ』は小西さん、高浪さん、鴨宮さんの3人による楽曲で主に成立していました。
『ベリッシマ!』では小西さん、高浪さん、そして田島さんによる3人の楽曲で成立していました。
二枚とも、3人の優れた作曲能力を持つソングライターのパワーが拮抗しています。甲乙つけがたいほどに。
そんな関係性で思い出すのが、YMO、だったり、はっぴいえんど、だったり、ナイアガラ・トライアングルのアルバムだったりします。
一つのグループに才能のあるソングライターが3人いれば、やはり存続するのは難しいモノです。
でもそれ故に火花がスパークしたときの威力は凄いです。
そして1995年にリマスターされたときと、同様に今回のリイシュー盤の帯にもこのようなフレーズが書かれています。
《仏作って、魂(ソウル)を探す》
言い得て妙ですね。
仏は仏なんですから、魂を感じるか否かはその人次第。
ちなみに1988年に出たときのオリジナルの帯は『汗知らずスーパースウィートソウル』だった筈。

さてさて、冗長な文章も終わりにしましょう。
本当はこの素敵なシングルのジャケットをブログにアップ出来ただけで満足なのでした。

前回と今回で紹介した二枚のA、B面で鴨宮、高浪、小西、そして田島さんのそれぞれの楽曲が公平にフィーチュアされたコトになります。

イイ曲ばかりですね。
勿論、アルバムの他の曲も負けじと名曲ばかりで、個人的には高浪さんの『カップルズ』(ベリッシマ!収録)もシングルカットして欲しかったです。
『ベリッシマ!』以降の、『女王陛下のピチカートファイヴ』(1989)も『月面軟着陸』(1990)も大好きなので、アナログで出して欲しいなぁ。
きっと二枚組になるだろうけど。買います。ゼッタイ。
『バナナの皮』や『恋のテレビジョンエイジ』を7吋でシングルカットして欲しいなぁ、とか。
ラバーズ・ロック』を12インチで出して欲しいなぁ、とか。
ピチカートマニアの欲望は尽きません。

夜も眠れません。

とにかく、わが青春のピチカートのソニー時代に万歳。

では、

♪ お  や  す  み  な さ い


『これは恋ではない』《MHKL 2》〈作詞/作曲:小西康陽〉(04'45'')【2017】


ベリッシマ

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  • 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックダイレクト
  • 発売日: 2016/08/24
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  • 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックダイレクト
  • 発売日: 2017/02/22
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カップルズ

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