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『春にして君を想う/小沢健二』 [フリッパーズ]

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こんにちは。
一年のうちで一番寒いこの季節に何となく聴き返したくなるシングル盤。
オザケンによる早春賦、「春にして君を想う」。
1998年1月終りのリリース。ゆったりとした曲調。
スネアドラムのロールがリズムを穏やかかつ正確に刻み、ホーンセクションが茫洋と流れるようにフレーズを奏でます。その合間をピアノが細やかにリリカルに爪弾かれます。
渋谷 毅さんのつぶらな煌めきにも似たピアノ演奏。
川端民生さんによるベース演奏の大らかなでどっしりとしたビート。
行くあても無くゆらゆらと静かに、厳かな行進曲。
または《しずかなタンゴのように》。

独り言のように、語るように歌い出すオザケン。
甘美なメロディを添えて。
それがとてもセンチメンタルでノスタルジックな響きで。
胸を締め付けるほど。
ホロリと来ます。
何かを悟ったように、終りを予感させるような曲の雰囲気。
歌詞もそんな兆しを含んでいます。
このときオザケンは20代の終り頃と思われます。
もう余り若くない歌詞の主人公の静かな諦観を等身大で表現してるようです。
丁寧でムーディな名唱。
ソロデヴューして五年、歌手としての成長を感じたりなんかして。
豊かな味わい深い音楽。
う〜ん、せつない歌です。

この曲のタイトルを聞いたとき、同名の映画を思い出しました。
90年代前半に確か渋谷のシネマライズで観賞した記憶があります。
男性の老人が彼の幼なじみの老婆を連れての故郷への逃避行。
アイルランドの幻想的で鬱蒼とした風景が印象的でした。
老後に思いを馳せる歌詞と同名映画が仄かに結びつきました。
オザケンもこの映画を観たのでしょうか。
もう一度観てみたいです。

二曲目は同曲のインストゥルメンタル。
カラオケと表現するには素敵過ぎてモダンです。
渋谷 毅さんのアレンジの美しさを堪能出来ます。

三曲目はクレジットされていないのですが一つ前のシングル「ある光」のフルレングス バージョンが収録されています。
とっても大好きですが、この曲に関してはまたの機会に。

何となく、1998年と云う年は個人的に色々なことが終ったり、始まったりと時代の節目のような時期だと感じていました。
90年代の彼のソロ活動の後半は8センチシングルのみを矢継ぎ早にリリースしていましたが、このシングルを境に音楽活動がしばらく途絶えます。
この時期の8センチシングルはアルバム未収録の曲が多くて、それに反比例するようにクオリティの高い名曲ばかりなのですが廃盤状態が続いています。
それは残念なコトです。

そういえばオザケンと云えば、今年春のライヴ。
オフィシャルサイト先行予約はハズレました。
それも残念なコトです。

最後に、
エディター/サブカルライターの川勝正幸氏が急逝されました。
余りに突然の事で上手く言葉にできません。
90年代、東京に住んで様々な映画/音楽/舞台に出会いましたが、それらの水先案内人として活躍されていたのが川勝氏でした。
近田春夫、ヤン冨田、ピチカートファイヴ、クレイジーケンバンド、スチャダラパー、はっぴいえんど、セルジュ ゲンズブール、ロバート アルトマン、etc....、僕の興味があるモノの先にはいつも氏の鋭く確かで優しい筆致のレヴューやライナーノーツやパンフレットが添えられていました。70年代〜90年代、そして現在までを貫く膨大なポップカルチャーの知識に裏打ちされた氏の視点や文章は大いに参考になりました。
当時、ライヴでもときどきお見かけしました。
最後にお見かけしたのはアル クーバーの来日公演だったと思います。
近年は余り雑誌をチェックしたりするコトがあの頃よりも疎かになり、川勝さんの文章に接することは無かったのですが、昨年、荒木一郎さんのライヴDVDボックスの解説&インタビューを担当されていたのが川勝氏で、とても読み応えがありました。嬉しかったです。
それからまた最近テレビBrosの連載をときどきチェックするようになった矢先の訃報でした。
小沢健二さんへのインタビュー記事も過去に読みました。
奇しくも今回のシングルを記事にしながらそんなことを思い出しました。
まだお亡くなりなるには早過ぎます。
慎んでご冥福をお祈りします。

『春にして君を想う』《TODT-5109》〈作詞・作曲:小沢健二/編曲:渋谷 毅〉(04’28’’)【1998】
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